ルナサンダル
最近ランニングに飽きていた。もともと多くない走行距離がさらに落ちていた。
環境の変化とかいろいろ理由は書き出せばきりがないけれど、結局のところ走ることに飽きてしまったんだと思う。
そんな中いつものランニングコースをダラダラ走ってると、いつものようにすれ違う何人ものおっさんランナー、、、
改めて考えるとわが町の河原を走ってるのは殆どがおっさんだ。
さしてきれいではない川沿いをせっせと走っている。
この町ではランナー同士がすれ違っても挨拶はしない。
必然的におっさんの誰しもが孤独に、いや孤高にか、、、まぁとりあえず走っている。
だからいつもなら気にもとめない。ただその日はあるおっさんに目を奪われた、、、
彼は特別締まった体をしているわけではなかったけどひとつ特異な点――ランニングシューズではなく、サンダルで走っていた。
変だとは思わなかった。昔読んだ「BORN TO RUN」を思い出したからだ。
購入
「BORN TO RUN」、ゴムタイヤを切り取ったサンダルで爆速で走るアフリカの部族の秘密に迫った物語だったと思う。
サンダルで走る部族が怪我をしなくて、高性能のランニングシューズを使用する主人公は怪我まみれ、、、その問題解決に至るプロセスが面白かった。
ちょうどなにか変化を求めていた。
早速ランニング用のサンダルを購入するためにググった。
様々なメーカが販売しているようだが、「BORN TO RUN」の作者が開発した「ルナサンダル(LUNA SANDALS)」を見つけた。
ルナサンダルはいくつか種類があるが、今回購入したのは「レトロモノ」と呼ばれるソールの厚さが中間のものを選んだ。
レトロモノは、街歩き、ランニング等、一番オールラウンドにルナサンダルを体感できるらしい。
ルナサンダルの概要は下記の通りだ。
①走るために作られたサンダル
②シンプル
③メキシコのタラウラマ族が使っている履物にインスパイを受けて作られた
④人間本来の走りを引き出すという意味で、最新シューズとは対極的な位置づけ。
ランニングといったら、先ずいい感じのシューズがマストなのが通説だ。
初心者向けのシューズにはこれでもかというほどクッション材が埋め込まれている。
そう思うとルナサンダルはただのゴム板みたいなものでなんとも頼りない。
殆どビーチサンダルの形状なので、これで走ったら確実に怪我しそうな気がした。
実際、初心者ほどいきなり履いて走るのではなく、ある程度歩いて慣れてからランニングをしたほうがいいらしい。
ただ、すぐに走り出したかった。
いきなり走ったらどうなるかわくわくした。
もう誰も止める人はいなかった。
さっそく走ってみた
1日目
履き方は簡単だ。 |
説明書を読みながらとりあえずちょっときついと感じるくらいに留め具を締めて出発した。
ゆるめに5キロほど走ろうと思う。
1分ほど歩いて、紐が緩まないことを確認して、歩きもそこそこに走り始めた。
先ずはキロ7分ペース。
意外とふつうに走れる、、、。
今日は真夏だ。この時期のは足が嫌になるほど暑くなるが、サンダルだから足に風が通り抜けて癖になりそうだ。
3キロ地点
左足の中指の感覚に違和感をおぼえる。
立ち止まって指を見ると、中指の腹に水膨れ出来かけ!
はやい。
たった3キロで水膨れ。
サンダルの留め具調整がゆるい故にサンダルと足がこすれる可能性を考えて、留め具をきつめに締めなおす。
4キロ地点
留め具を閉めて、また中指を気持ちかばいながら着地していると、今度は両足の小指の爪が若干痛い。
靴はいてないし圧迫されていない小指がなぜ痛くなるのだろう。
5キロ(ゴール)
ゆるく走っただけだがふくらはぎあたりがしんどい。たった5キロでこのありさまだ。年を重ねるごとに自分が特別な存在じゃないことを実感させられる。
狭い靴から解放された状態でのランニングはなんとも言えない楽しさがあった。
また明日も走ろうと思った。
2日目
前日の5キロランでふくらはぎが軽い筋肉痛になっていた。左中指もしっかり水ぶくれになっている。
昨日の経験をもとに改善点をまとめた。
・踵のバンドをきつめに閉めて足のこすれを少なくする。
・付属バンドも少しきつめに絞める。
・なるべく重心の真下、足元で着地をする。
きつめに絞めた分若干鼻緒部分がこすれて違和感はあるものの、少し走りやすくなった気がした。
もう少し走れそうな気がしたが、今日も5キロで切り上げた。
3日目
ふくらはぎに軽い筋肉痛が残りつつ、3日連続でランニング。
1.2日目の気づきを意識して、さらにピッチを狭めて体の真下で着地を心がけて、足裏とサンダルの擦れを軽減する。
そうすると5キロ走っても初日ほど痛くない。
10キロラン
何回か走っていると10キロくらいは楽に走れるようになってきた。
走るときの姿勢も良くなってきたと思う。
というか背筋をピンと伸ばして足元で着地しないと足裏が悲惨なことになるのだ。
きっと距離をのばすと新しいトラブルが出るだろう。けれど今はそれも楽しみだ。
ランニングへのわくわくが戻ってきたのを感じた。
ピッチはもっと狭めたほうがいいかもしれない。